尿トラブルが心配で水分摂取を控えている方へ

体内の水分について

わたしたち人間の体の約50～60%は、水分で構成されています。
水分には、栄養は含まれていませんが、生命維持にとっては、不可欠な成分です。血液をはじめ、皮膚、筋肉、臓器、骨などのあらゆる部位に存在しています。
食物にも含まれており、肉類では約70%、果物や野菜では約90%を占めているといわれます。
水分は、食事や飲み物として摂取されるほかに、体内で栄養素を代謝する過程でエネルギーを発生させる際にもつくられています。
体内の水分は、汗、呼吸、尿、便などによって排泄され、体内の水分量は常に一定に保たれています。汗の量が多い場合は尿の量が減少し、水分を多量に摂取した場合は、尿の量が増加して調整しています。
私たちにとって水分は、切っても切り離せない重要な成分です。

体液

生体内の液体を体液といいます。平均的成人男子では体重の約 60％・女子は脂肪の割合が高いため約 55％・新生児は約 75％といわれています。
体液は細胞内液と細胞外液とに分けられます。細胞外液は，血管・リンパ管を流れる循環液・血管外にあって細胞を浸している間質液（組織液）があります。
生命活動に必要な栄養素や排泄すべき老廃物は、細胞内液と細胞外液を行き来しています。
口から取り入れた栄養素は、消化管から吸収されて体内に入ります。栄養素は酸素とともに、細胞外液の血漿で組織まで運ばれ、同じく細胞外液の組織間液で一つひとつの細胞まで届けられています。
細胞外液で運ばれた栄養素や酸素を使い、細胞内液に満たされた細胞内で活動に必要なエネルギーを生み出したり、体を作るタンパク質を合成したりしています。
そこで生じた老廃物や二酸化炭素などは、逆のルートを辿り、細胞外液で運び出されて、尿や呼気として体の外に排泄されます。
生命維持のために栄養素や酸素を運び、不要な老廃物や二酸化炭素を運び出すという大切な働きには、水分である体液が必要です。

体温

体液には体温を維持する働きもあります。人間の体温は35度～37度前後に保たれています。
わたしたちが生命活動を行うためにエネルギーを生成することで生じた熱を、体のすみずみに伝えて、体温を保持しています。
発汗などによっても体温を調節しています。
また、運動を行った際などは、大量のエネルギーを使用するため、体内では多くの熱が生成されます。体内の水分は、汗として放熱し体温を調節しています。
体内の水分は、体温調節機能のように、体内の環境を一定に保つ重要な役割を果たしています。

電解質

体液が減るとあらゆる生命活動が滞るといわれています。中でも体液に含まれる電解質は、体にとって、とても重要な役割があるそうです。含まれている電解質は、微量なのですが中でも特にナトリウムイオンは、体液を体に保つ働きがあるといわれており大切です。
電解質は、体液に溶けて電気を帯びているミネラルや微量元素です。水に溶けた時にプラスの電気を帯びた陽イオン、マイナスの電気を帯びた陰イオンにわけられます。
電解質は体のすみずみに分布していて、神経、骨、筋肉、臓器の機能を正しく保っています。
細胞の外側を満たす細胞外液にはナトリウムイオンが最も多く、そのほか炭酸水素イオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、塩素イオンなどが含まれています。これは海水の組成と同じとあります。
これら電解質は、体液の分布を調節して一定に保つだけでなく、体液の浸透圧平衡や酸塩基平衡を保ち、神経や筋肉の反応を正常に保つなどの重要な働きをしているそうです。
水分とともに電解質が失われると、体液が減り生命維持に危機が迫るそうです。
脱水により体内から水分が失われると、体液は濃縮されて浸透圧が上昇します。浸透圧が上昇すると、腎臓の尿細管での尿の再吸収量が増加し、体液が増えて浸透圧は一定に保たれているそうです。

水分摂取と尿トラブル

飲み物を飲んで水分を体内に摂取しても、すぐに尿として排出されるわけではありません。摂取してから時間とともに尿になる割合が増えていきほとんどが尿となるのは、およそ６時間くらいかかるそうです。
摂取した水分は、腸で吸収されて、血液で全身に巡ります。私たちの体の中を巡る血液は、酸素や栄養素を体中の細胞に運ぶと同時に、老廃物を細胞から回収しています。体内のすべての血液は、循環の過程で腎臓を通り糸球体でろ過され、老廃物や不要なものは尿として排出されています。
私たちの体は、ほかに、体内の水分量を調整する機能もあります。体内の水分量が減少すると腎臓は尿の量を減らし、水分量が増えると尿の量を増やし体内水分量のバランスを一定にキープしています。

尿トラブルについて

尿トラブルが心配で水分摂取を控えている。
では、どのような尿トラブルが心配なのでしょうか？自分で尿意をコントロールできないことが心配であったり不安なのではないでしょうか？
強い尿意切迫感を感じた。あともう少しでトイレというときに少し漏れてしまった。尿トラブルの経験があると常にその時のイメージが頭に残ってしまい回避するための方法として水分を控えてしまうと考えられます。
実際にわたし自身も尿トラブルがひどい時期は、どうしたら尿トラブルを回避できるかいろいろと考えていたものです。

以下、尿トラブルについて解説しています。
もしも、あなたに尿トラブルが起こったら

尿トラブルの不安や心配に打ち勝つには

私たちの身体は、膀胱の中に尿がたまってくると、身体の複雑なシステムが働いて尿意を感じています。膀胱内の尿がおよそ150～250mLを超えると膀胱内圧が急激に上昇します。すると、膀胱壁が引き伸ばされ、壁にある圧力センサー（伸展受容器）が刺激されます。この刺激が脊髄から脳幹の排尿中枢に伝わり、さらに大脳皮質を通って脊髄（仙髄）の排尿中枢に伝えられ、尿意を感じます。
その尿意に振り回されない方法を解説します。

尿意コントロールについて

「排尿筋抑制反射」といって、起こった尿意を身体の反射を利用して尿意を抑える尿意コントロールの方法をご紹介します。
軽い尿意が起こったら、外尿道括約筋を巾着の口を締めるみたいにギュッと締めその刺激を脳へ送ります。それから、少しトイレ以外のことに気をそらします。
それにより、脳が「今は、トイレに行かずに尿を溜めようとしているんだな」と判断し尿意を抑えてくれます。
「排尿筋抑制反射」を体得して自分は、尿意に振り回されず自分のタイミングでトイレに行けるんだと自信を持つことです。尿意コントロールができるようになると尿トラブルの心配や不安から解放され水分摂取から尿トラブルを心配することも気にならなくなってきます。

気持ちの問題が大きい

飲み物を飲んで水分を体内に摂取してほとんどが尿となるのは、およそ６時間くらいかかるとあります。水分が排尿に至るまでは、吸収→血液循環→腎臓→尿の産生・再吸収→膀胱で蓄尿のプロセスが必要です。よって、水分がすぐに膀胱に尿をいっぱいにし尿意を感じさせているとは、考えにくいといえます。
だとしたら水を飲むことや水を見ることで、トイレや排尿を連想しているのかもしれません。
「水を飲むとすぐトイレに行きたくなる」「トイレが近い」「急にトイレに行きたくなったら漏れてしまうかもしれない」「トイレに行きたくなったらどうしよう」尿トラブルに関する不安や心配が尿意を感じさせているのではないでしょうか。
わたし自身も経験がありますが自分の尿トラブルからの思い込みによってさらにトイレが近くなっているという気持ちの問題の影響が大きいともいえます。

水分が不足すると

水分摂取を控えたり、発汗量の増加などによって体内の水分が不足すると、尿量は減少します。
すると老廃物がきちんと排出されなくなり、むくみや疲れなどの原因になることがあるそうです。また、尿の量が濃くなるのも体内の水分不足のサインとあります。
運動中や高温下での作業中に尿量の減少が見られるような場合には、脱水症状の進行が疑われるそうなので注意が必要です。
一度に大量の水分補給をしても、体は吸収しきれず、多くが尿として排出されてしまいますのでこまめに水分を補給するようにすることをおすすめします。

まとめ

尿トラブルと水分摂取は、関係ないようですが尿トラブルの不安や心配のある方には、深刻な問題だといえます。
水分を摂取した方がいいことは、理解していてもついつい控えてしまったり、反対に尿トラブルの不安や心配が頭から離れず自分から尿意を誘発してしまっていたり
きちんと体のことを理解し、また自分は、尿意をコントロールできるんだという自信を持つことができるといつの間にか尿トラブルと水分摂取の問題を忘れることができます。
今回は、トイレが心配で水分摂取しっかりできない方へ尿トラブルと水分摂取について解説しました。尿トラブルの心配なく安心して水分摂取するために尿意コントロールの方法をご紹介しています。
自分自身のさまざまな尿トラブル克服経験から広島市中区で尿ケアの啓発活動を行っております。
尿トラブルのない、いきいきした人生を手に入れて大人用紙おむつなど尿トラブル製品のゴミを削減を目指しています。